予約情報

News

ホーム ニュース

KGモーターズのぽこみちです。

今回はKGモーターズ開発製造を進めているミニマムモビリティロボット「mibot」の設計メンバーの笹川さんから共有してもらったドア設計のちょっとマニアックな話を書こうと思います。

普段は意識しない部分かもしれませんが、こんな思考で設計してるのか!というのを知ってもらえると嬉しいです。

乗降性について

車に乗り降りするときに、皆さん普段自分がどのようなドアの操作をして乗り込んでいるかイメージできますか。ドアの中間ストップまで開けて乗る人もいるでしょうし、乗りこめる幅までドアが開いたら片手でドアを保持しながら乗る人もいると思います。

メーカーごとに色々事情があるんで一概には言えませんが、基本は車ごとに設計者の狙いがあります。市場で自分が担当した車の使われ方を見て、お客様が狙い通りに使ってくれていると思わずニヤりとしてしまうわけです。

mibotの乗降性とドア設計の考え方

では、「mibotはどうなっているか?」というとドアを中間ストップ位置まで開けて車に乗り込んでもらえるような設定にしたいと思っています。

軽自動車規格の駐車場をベースに検討することにして、駐車場中央に車を止めてドアを開けて乗り込む(ドアを中間ストップまで開けた)際に、ドアが駐車場の枠からはみ出ないことが目標です。

ちなみに、小型車は車幅的にこういった狙いは難しいので、乗り込みに必要な幅はどの程度かをベンチマークして目標値を決めたりします。ドアがどれだけ開く、どこで止まるという内容は乗降性に関連するパラメータになってくるんですが、他にもいろんなパラメータを調整して車ごと乗降性が作り込まれています。

いかに違和感なく乗り込んでもらえるかってすごく難しい課題です。

ドアは良い意味であまり印象に残らず使ってもらえるくらいの感じが良い車なのかな、と最近思ったりします。

 

KGの社内ではチームメンバーがSlackでこういった気軽な情報共有をしてくれることもあるので、車に詳しくない僕としてはシンプルに学びになりますし、設計者の思考がわかることでより車を作ることの難しさと楽しさを知ることができます。

かなり不定期更新にはなると思いますが、このようなちょっとしたネタ記事もお楽しみに。

平素よりmibotにご関心をお寄せいただき、誠にありがとうございます。このたび、mibotの予約開始日程が以下の通り決定いたしました。

予約開始日時:2024年8月23日(金) 21時

先日、決済システムの不備により延期させていただきましたが、現在、改善に向け準備を進めております。ご不便をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

予約に関する詳細は、こちらをご覧ください。

予約に関する詳細事項

皆様のご予約を心よりお待ちしております。

今後とも、mibotをよろしくお願い申し上げます。

平素よりmibotにご関心をお寄せいただき、誠にありがとうございます。

8月1日に予定しておりましたmibotの予約開始につきまして、予約システム準備の遅れにより延期することとなりました。公式サイト上で予約の中止をお知らせいたしましたが、続報が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。

延期の経緯

予約システムの開発において、当初予定していた納品日から複数回にわたり遅れが発生しました。事前にテスト環境で決済の確認を行い、チーム一丸となって予約開始日に間に合わせるため努力を続けました。しかし、最終的な納品が予約開始予定日の当日となり、直前の本番環境で予期せぬ不具合が発生しました。このため、安全かつ円滑に予約を開始するために、延期を決定いたしました。

■KGモーターズ取締役 横山文洋コメント

mibotの予約開始を心待ちにしていただいていた皆様には、この度の延期によりご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。皆様の期待に応えるため、予約開始日に間に合わせようと全力で取り組んでまいりましたが、その思いが強かったために中止の判断がギリギリになってしまいました。心よりお詫び申し上げます。

現在、予約開始を実現するために、問題解決に向けた取り組みを進めております。信頼性の高いシステムを提供できるよう、引き続き改善に努めてまいります。

今後の対応

現在、社内と委託先の共同で新しいチームを組み、新たな担当者と共に開発を進めています。新チームの確認により、納品されたシステムが不完全で、改修に想定より時間がかかることがわかりました。具体的な予約開始日をお示しできる段階ではございませんが、まずは現状を皆様にお伝えするために、状況報告を優先しております。予約システムのテストを本日、8月5日(月)より開始する予定で、遅くとも8月9日(金)には今後のスケジュールをお知らせできる見込みです。予約開始の新しい日程が決まり次第、皆様にご案内いたします。

公式サイトリニューアルのお知らせ

この度、予約システムの完成に先駆けて、公式サイトをリニューアルいたしました。mibotの予約に関する手順なども記載しておりますので、予約開始までにぜひご覧いただければ幸いです。

mibot予約情報

今後の情報の確認方法

最新の情報は、当社の公式ウェブサイトおよびニュースレターにてお知らせいたします。また、SNSアカウントでも随時情報を更新いたしますので、ご確認いただけますようお願いいたします。

予約システムの準備にお時間をいただいていること、心よりお詫び申し上げます。mibotを楽しみにしていただいている皆様に、より良い体験をお届けできるよう全力を尽くしてまいりますので、引き続きご期待ください。

日本の車利用実態から考える

日本の車利用実態

現代の車利用は、実際には短距離での1人利用が大半を占めています。通勤やちょっとした買い物など、日常の移動において多くの人が車を1人で使用しているのが現状です。これは、現在の車の最小単位である軽自動車でも、その用途に対してオーバースペックであるといえます。このような状況は、効率的とは言えず、無駄なコストやエネルギー消費が発生しています。

オーバースペックな移動からの脱却

mibotコンセプト

そこで、利用実態に即した小型EVこそが、これからの未来には必要だと考えます。1人乗りの小型EVは、必要最小限の機能に絞り、コストと環境負荷を抑えることで、持続可能な移動手段としての役割を果たします。

これにより、移動手段としての持続可能性を高め、地域や社会全体のエネルギー効率を向上させることが可能です。持続可能な移動の実現は、これからの時代に求められる重要な課題であり、私たちの未来を形作る鍵となります。

ワクワクする移動の実現

しかし、持続可能な移動を実現するためには、単にコストが低く環境性能が高いだけでは十分ではありません。人々が「乗りたい!」と思えるようなワクワク感を提供することが不可欠です。デザインや乗り心地、運転する楽しさなど、さまざまな要素を組み合わせて、魅力的な体験を提供することが必要です。これにより、多くの人々に愛され、自然と普及する移動手段となることができると考えています。

KGモーターズの小型モビリティロボット「mibot(ミボット)」開発プロジェクトの裏側を追う独自メディア【KGマガジン】。本記事を読んでくれているアナタはきっとmibotに興味があるのだろう。すでに多くの人から興味・関心を集めるmibotである。皆を惹きつける、一番の要素は何だろうと考えれば、思いつくのはデザインだ。自分が購入する側の立場だったらと考えれば、価格や性能よりもまず見た目。そんな思いからmibotのデザインを担当するオーサン(仮名)に話を聞いてみた。

先端尖ってなくてもいいんだ…エンタープライズ号に学んだ、先入観をなくすことの大切さ

mibot開発プロジェクトには多くのメンバーが参加しているが、その中には本業の傍らKGモーターズのビジョンに共感し、副業として参加するメンバーも多い。mibotのデザインを担当するオーサンもその一人。国産自動車メーカー在籍時にはスポーツセダンやファミリーカーなど量産車やモーターショーに出展するショーカーを手掛けた実績を持つカーデザイナーで国内だけでなく海外からの依頼を多く、常に複数の案件を抱える人気デザイナーである。一方で最近はクルマだけに留まらず、仕事領域は拡大しているようで、そのあたりの話も実に興味深い。

オーサン:基本的にはカーデザイナーで、仕事としては9割方が乗り物です。飛行機と船以外はほぼ手掛けてきたので、言うなればタイヤがついた“車輪系”ですね。でも最近は自動車に限らず、電動スクーターから重機まで幅広いジャンルの依頼も来るようになっています。

案件に取り組む際はどんなコトを考えながらデザインを考えるのですか?

オーサン:クルマで例えるなら「買う人になりきる」ですよね。そのクルマに乗ってどんな場所に出掛けたいと思うかを考える。自分自身の趣向としては高級車にあまり興味はないけれど、どんなクルマだったら買うかな、どういう使い方だったらテンションが上がるのか、買う側の人間に立場を置き換えて考えてみますね。あとは実際にユーザーが行きそうなお店とか、スポットに実際に行ってみる。完全になりきることはできないかも知れないけど、体験することはできる訳だから。

例えば大型重機など、存在自体が身近ではないモノを制作する場合は?

オーサン:大きな乗り物のイメージから想像を膨らませます。例えば「これがロボットだとしたら…」と。パイロットになった気分でどんなモノなら乗りたいと思えるか?を考える。あくまでもアイデアを膨らませるキッカケとして間接的にガンダムのイメージを取り込んでみるとかはありますよ。といっても、僕自身はあんまりガンダム観てなかったんですけどね(笑)。どちらかと言えば『宇宙戦艦ヤマト』。松本零士さんの作品が好きだったので『宇宙海賊キャプテンハーロック』とか男臭いストーリーの作品のほうが好きでしたね。

幼少期に観ていたアニメ作品が今の仕事に活きている部分はありますか?

オーサン:子供の頃、友達はアニメならガンダム、映画ならスター・ウォーズが人気。でも僕はヤマトと『スター・トレック』に夢中でしたね。作品に登場するメカも好きだけど、そのストーリーに入り込んで楽しむタイプだったので…そういう意味では使う人になりきってデザインを考えるというやり方はあの頃から身に付いていたのかも知れません(笑)

あと僕は、先入観に囚われていると新しい発想は生まれないと考えているので、デザイン作業においては一旦、黄金比とかセオリーというものを崩して考えます。その「先入観をなくす」という習慣は、スター・トレックの宇宙船を見た時に学びましたね。それまで宇宙船と言えば、先端が尖った流線型で…という先入観に囚われていたけどエンタープライズ号(劇中に登場する宇宙船)の丸くて、棒がついているだけのような形を見せられた時に衝撃を受けたんですよね。「先端尖ってなくていいんだぁ」って(笑)。それでいて、その形にはきちんと裏付けがあってストーリーを追いかけていくと、なるほどな!と思わせてくれるんですよ。

「前後対称デザイン」は両刃の剣!?
“クルマっぽくない”ことで新たなトレンドを生む存在に。

「使う人になりきる」「先入観をなくす」。自分なりの極意を活かしてデザイン制作に取り組むなかで、小型モビリティロボットというKGモーターズからの依頼に対して、どのようなアプローチで挑んだのかを聞いてみようと思う。まずはKGモーターズ(くっすん)とはどういう繋がりでデザインを請け負うことに?

オーサン:くっすんがT-BOX(mibotの前身モデル)を作っているのをユーチューブで知って、オートサロンに出展されたのを見に行ったのがキッカケですね。オートサロンの現場ではくっすんと直接会うことは出来なかったけれど、後日連絡をもらって話を聞いてみればくっすんも以前から僕の事を知っていてくれたらしいです。その後、改めてmibot開発プロジェクトでの車体デザインを依頼されたという流れですね。

前後対称というデザインコンセプトはオーサンからの提案ですか?

オーサン:いえ。依頼を受けた時点で、すでにくっすんのなかでテーマがあって絵(ラフ)も作られていました。ただ正直に言えば僕のなかには「前後対称デザインのクルマ」は面白くないという思いがあって。過去に何度か取り組んだ経験もあるんですが難易度が高くて、諦めたような事もあったんです。だから、これは難題だなと思った。でも、コストを抑制する意図だったり、前後対称というキーワードに対するくっすんのこだわりは物凄く強い。その思いを共有する内にその期待に応えたい、デザイン的に成立させたいという一心で取り組んだ結果、意外と面白い、想像以上に納得のいく形になったと思いますね。

懐かしさを感じさせるレトロっぽさもデザイン的な特徴かと思いますが、一方でクルマっぽくない雰囲気もありますね。

オーサン:70〜80年代のプロダクトに影響受けている要素は強いので、ポラロイドカメラをモチーフとして取り入れようと考えたのは僕のアイデアです。ボディ色のメインカラーに黄色を使っているのも、80年代の元気が感じられるビタミンカラーを意識していて、当時の時代背景を感じさせる、愛くるしさと勢いがある感じも重要な要素ですね。それも含めて“クルマなんだけど、クルマっぽくない感じに仕上げたい”という点はくっすんとも考えは一致していました。

mibotは“クルマっぽくない”をテーマにデザインした、と?

オーサン:僕が若い頃に初代ウォークマンが発売された時、まだ当時の僕らに外に持ち出す音楽がなかったんですよ。好きなアーティストの楽曲をカセットテープで探すか、レコードからダビングするしかない。でも皆、ローラースケートを履いてヘッドホンをして街を歩く、それがカッコよくて。その行為がしたくてウォークマンを買ってもらった。だから当初はヘッドホンしているけど皆、音楽なんて聞いてなかったんですよ(笑) そこから本当に“外で音楽を聞く”という文化が成熟してきた。その過程を見てきたから、mibotもそんな、新しい文化を生み出す存在にしたい。最初からクルマ(移動手段)と思われるのではなくて、「何か面白そうだな、乗ってみたいな」とまず興味を持ってもらうことがワクワクすることに繋がると思うので、そう思わせる要素として前後対称デザインっていうのも効いてくるし、くっすんの差配というか、目の付けどころは正しいのだと思う。

最後に、デザイナー目線でのmibotの見所って何ですか?

オーサン:クルマっぽくないをテーマにデザインしながら…きちんとクルマになっているとこですね。前後対称でガラスも平面で動きを感じられない、ヘタすると置物みたいになりかねない。でも、その“動きそうにないものがちゃんと動く”と感じてもらうために、タイヤの配置場所を工夫したり、クルマとして成立させるという点はかなり吟味しましたね。オモチャっぽさや可愛らしさを残しつつ、でもプロダクトとしてはクルマなので。クルマ好きが見た時に不安や違和感を感じないようにクルマらしさをきちんと残せているというのが、カーデザイナーならではですよ(笑)

 

取材・編集担当/野本和磨(nomo.chant.)
元「デイトナ」副編集長。デイトナ誌面でKGモーターズの前身“くっすんガレージ”の活動を紹介してきた経験を元に「mibot」開発プロジェクトを紹介する案内役。KGマガジンの執筆とともに任されているmibotの車両展示イベントがいよいよ7月5日からスタート。準備や手配に追われながらも、内心ひさしぶりの広島出張で「広島つけ麺」を食べることで頭がいっぱい。こんなこと日々忙しい他のプロジェクトメンバーたちには口が裂けても言えない。

KGモーターズ株式会社(本社:広島県東広島市、代表取締役CEO:楠 一成、以下「KGモーターズ」)は、持続可能な移動の実現を目指して開発された小型モビリティロボット「mibot」の先行注文受付開始に向けた展示イベントを広島と東京で開催いたします。

広島展示イベント概要

  • 期間:7月5日(金) – 7月7日(日)
  • 時間:10:00 – 18:00
  • 場所:広島T-SITE 1号館1F プロムナード
  • 住所:〒733-0831 広島県広島市西区扇2丁目1-45

東京展示イベント概要

  • 期間:7月10日(水) – 8月31日(土)
  • 時間:10:00 – 20:00
  • 場所:蔦屋家電+
  • 住所:〒158-0094 東京都世田谷区玉川1丁目14-1 二子玉川ライズS.C. テラスマーケット 二子玉川 蔦屋家電1F

注文受付と量産について

  • 注文受付:2024年8月から「先行注文受付」として、公式サイトによるEC販売で行います。
  • 量産開始:2025年9月を予定しており、「先行注文」いただいたお客様から順次お届けします。

mibotについて

mibotは、1人乗りの小型電気自動車で、持続可能な移動を実現するために生まれました。誰もが楽しく、安全で快適に、手頃な価格で自由に移動できる世界を実現し、「今日より明日が良くなる未来」を創ります。KGモーターズは、持続可能な移動を我慢して達成するのではなく、ワクワクして楽しみながら達成することを目指しています。

mibotの特徴

  • デザイン:レトロでどこか懐かしいデザインと、前後対称の近未来的なスタイルが特徴です。
  • 安全性:小型で軽量ボディながら、独自の技術で高い安全基準を確保しています。
  • 快適性:ドア・エアコン付きで快適に利用できます。
  • 経済性:維持コストが低く、日常の移動が経済的に負担なく楽しめます。
  • 環境性能:小型で軽量のため、エネルギー効率が高く環境に優しいモビリティです。

  • 最大積載量:45kg
  • 航続距離(*1):100km
  • 登坂性能(*2):23%勾配(13°)
  • 最高速度:60km/h
  • 充電AC100V:5時間
  • 乗車定員:1名

(*1)30km/h定地走行テスト値
(*2)乗員の体重、積載物の重さ、路面状況、装備オプションにより変動
※開発時点での値となり、量産モデルでの仕様変更の可能性があります。

展示イベントでは、mibotの実車とともに、広島を代表するクリエイターIC4DESIGNのカミガキヒロフミさんによるイラスト「mibotが走る未来の街」も展示します。このイラストは、多様なモビリティが活気に溢れる街を描き、KGモーターズが目指す未来を表現しています。

ぜひご来場いただき、mibotの魅力を直接体感してください。私たちと一緒に、ワクワクしながら持続可能な移動を実現する未来を創りましょう。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

 

【採用情報】
車体開発エンジニア、ソフトウェアエンジニアのほか、様々なポジションで採用を強化しております。一緒にミッションの実現に向けて取り組んでくれる仲間を募集しております。
https://kg-m.jp/recruitment/

KGモーターズの小型モビリティロボット「mibot」開発プロジェクトの裏側を追う独自メディア【KGマガジン】。その記事制作を任されている私、野本が今月のテーマとして取り上げるのは、KGモーターズのユーチューブで公開され、反響を呼んだ動画『【衝撃】次世代ミニカー衝突試験に密着!』について。普段あまり目にする機会のない衝突試験の様子が、動画の中で詳しくレポートされているので、ぜひ御覧頂きたいのだが今回の記事では「なぜKGモーターズは衝突試験を行うのか?」について、記事にしてみたいと思う。

え!? 衝突試験やるの!? 難易度が高いからこそのチャレンジを楽しんでいる

(画像は ユーチューブチャンネル【KG Motors】くっすんガレージ モーターズ より/以下同)

 

まず大前提として自動車と異なり、原付ミニカー規格で新たなモビリティを製造するうえで衝突試験の認証基準はない。つまり検査結果がどうであれ、製品化に際して何ら制約もないのである。しかし、KGモーターズ代表の楠一成(くっすん)は本プロジェクト立ち上げ当初から衝突試験の実施を決めていたという。

―くっすん:安全性を担保するという意味で「それだけは譲れない」というレベルで、最初から決めていましたね。でも車体開発を担う人からすれば衝突基準がないことがミニカー規格で作る最大のメリットともいえるので最初に宣言したときにはみんな「なんでわざわざやるの?」という思いはあったはず(笑) ただ僕としては何よりも優先したいのが安全性。これまで小型モビリティが社会に普及してこなかった理由に、安全性に対する不安があったと考えていて、そこにmibotの開発に対してユーザーから寄せられた要望にも安全性に対する意見が多かったことで、やっぱりその考えは間違ってなかったと確信しましたね。

くっすんはプロジェクトの開始時点で衝突試験を念頭に置いていたというが実際の製作現場においてもその高いハードルは重くのしかかる。仮に衝突安全性を考慮せずに作ることができたなら、車体製作はもっと早く進んでいたはず。一方で、その困難に立ち向かうというチャレンジを楽しんでいるように見えるのも事実なのである。

―くっすん:小型モビリティにおいて衝突安全性を担保するというのが難易度の高いミッションであることはもちろん理解していた。でも厳しい制約がある中でその解決策を探って、ものすごい難易度の高いゲームに挑んでいるような楽しさを感じているのも事実です。ただ、僕自身は楽しんでいるけれど、車体開発リーダーである久保さんをはじめ、外部の協力先企業も含めて現場の技術者の皆さんが物凄く苦労して頑張ってくれていることには感謝しかない。それこそ本当に膨大な回数のシミュレーションを繰り返して、辿り着いたあの衝突試験だったので、試験当日の技術者の方々の緊張感は相当なもの。それが動画の中での久保さんの表情にも現れていますよね。それが、あの動画の一番の見所かもしれない(笑)。


メンバーが固唾を飲んで見守った衝突の瞬間。試験直後の久保さん(車体開発リーダー/写真中)の安堵した表情がプロジェクトの難易度を物語る。

mibotで最優先するのは安心・安全であること
一番の根底におく安全性への追求は終わらない

作り上げた車体に対する自信なのか、動画の中のくっすんはどこか衝突試験を楽しんでいるように見えた。でも当然ながら開発メンバー同様、試験に対しては不安も感じていたようである。無事に試験を終えてみての感想は?

―くっすん:今回の試験では主に2つのポイントについて検証すべき要素があって、1つは衝突の衝撃でも乗車空間が潰れることなく、「生存領域を確保することができるか?」。もう一つは衝突時に「潰れるべき部分がきちんと潰れるか?」。きちんと潰れることで衝撃吸収量を大きくすることができるか、ということ。潰れるところは潰れて衝撃を吸収しつつ、強度のあるフレームで人が乗る空間を守るというのが衝突安全性の基本的な考えで、その点は設計段階でのシミュレーションに近い結果が出せたので方向性が間違っていないという意味でポジティブに捉えてますね。

くっすんが言うように車体開発の面では今回の試験結果はポジティブなものであったようだ。ただ素人目には衝突の瞬間にダミー人形が車内で激しく動く映像を見て、「これは安心だ」と素直に思えない部分もあって…。

―くっすん:結果としてのネガティブな要素で言うと、そのダミー人形(=乗員)の動きが衝突の衝撃で身体が振られてハンドルに顔をぶつけてしまうとか、想定と違った。その点は改善したいと思うので今後の課題として取り組んでいくことになる。潰せるところはしっかり潰しきって、減速Gをもっと緩やかにしつつ衝撃エネルギーの吸収量を確保してあげれば乗員の動きも改善してくると思うので次の試験で重視すべきポイントはそこだな、と思ってますね。

先日、KGモーターズは正式名称とともに「mibot」は小型モビリティロボットであると発表した。“ロボット”と言われれば、単なるモビリティではなく自動運転技術やAI技術などの機能にも期待は高まるが作り手であるくっすんがmibotで一番重視しているのは何?

―くっすん:それは圧倒的に安全性。新しい移動手段として小型モビリティを提案しているのに例えば自分の家族が乗りたい、使いたいと言った時に「危ないから止めておけ」とは言いたくないですから。それは衝突安全性に限らず、出掛けた先でバッテリーに不具合が出て動けなくなるとか、乗り手が不安に感じてしまうような要素は極力無くしたい。安全や安心ということを根底に、何よりも優先するべきだと思っています。“楽しい”とか“ワクワク”っていうのは全部、安全であることが前提での話。

―くっすん:mibotが一人乗りの4輪ミニカーなのも安全性を重視したから。バイクの場合、乗員が剥き出しで2輪だから安定性にも欠ける。その点、4輪なら横転のリスクは減るし、キャビンに覆われることでの安心感を生むことができる。そのメリットこそが原付バイクとの違い。僕自身バイクも好きだし、軽快さとか爽快感とか2輪の魅力が失われることは重々承知の上で、それでも安全性を重視したモビリティを作りたいと思ったんですよね。

小型モビリティというカテゴリーの未来は
mibotの成功にかかっている

衝突試験に挑む理由としては、安全性に対するくっすんの強い思いがあることはよく理解できた。そして最後にくっすんが語ったのはmibotに留まらず、小型モビリティというカテゴリーの成熟に向けての強い決心だった。

―くっすん:自動車が進化するにつれて大型化してきた流れのなかで、この先はmibotをはじめ、小型モビリティが普及していくだろうと考える理由にも安全性が関係している。クルマのスピード領域が上がることに対応して、クラッシャブルゾーンを確保するために車体は大型化してきたけど、同時にADAS(先進運転支援システム)も実用化され、新型車には義務化され始めている。今後、自動運転技術も加わって“ぶつからないクルマ”へと進化すれば、「衝突するリスクがないなら小さくていい」という考えも生まれてくるはず。そもそもコストや扱いやすさの面では小さいほうがメリットも大きいわけで、衝突リスクのない世界では小型モビリティが中心になるのは間違いない。ただ、すべてが“ぶつからないクルマ”に置き換わるにはもう少し時間が必要で、その間に事故が起きて「小さいとやっぱり心配だ」と思われたら、この小型モビリティ普及の波を止めることにもなりかねない。mibotは小型モビリティのベンチマークであると同時に、その安全性の面での基準にならないといけない、それぐらいの覚悟で挑んでます!

近未来的なデザインやモビリティロボットとしての自動運転やAI機能などが注目されがちなmibotではあるけれど、その設計思想の土台にあるのは安全性能。今後、mibotの魅力を紹介したり、聞かれたときには「安心・安全であること」。これが最大の特徴であると答えようと思う。

 

取材・編集担当/野本和磨(nomo.chant.)
元「デイトナ」副編集長。デイトナ誌面でKGモーターズの前身“くっすんガレージ”の活動を紹介してきた経験を元に「mibot」開発プロジェクトを紹介する案内役。写真は6月某日のKGモーターズの取材の合間に参加したサムライジーンズのフットサル大会にて。わずか3分の出場時間なのに、酸素ボトルが手放せない体たらく。mibotを見習って今後の将来を見据えた“持続可能な体力”維持を心掛けようと決心した次第。

愛される存在であり続けるために守るべき『3つの約束』

今回の勉強会の目的は、車体開発等の技術的な話ではなくKGモーターズが作るミニマムモビリティを応援してくれる(購入してくれる)ファンを増やすために何をすべきか、を考えること。6時間以上に及んだ勉強会では、自分たちが作っているプロダクトを自己分析して強調すべき製品特性や訴求ポイントを改めて書き出し、そこから提供できるベネフィット(恩恵)を整理する。また展示イベントで寄せられた反響をもとに期待されているポイントを整理。その要望に応えることで熱狂的なファンになりうる人の人物像を想像する、というワークショップを行った。

ミニマムモビリティがユーザーにとってのベネフィット(恩恵)を提供できることを正しく伝えることで、熱狂的な(カルト)ファンを作り、その熱狂的なファンが新たなファンを呼び込む。この構造が生まれることでミニマムモビリティが広く、長く愛される存在へと成長していく−『カルトブランディング』と呼ばれるマーケティング手法でもっとも重要なのは、まずプロダクトとして価値あるモノであること、そして“ミニマムモビリティはこうあるべき”という、作り手であるKGモーターズが掲げる文化を正しく伝えること。その文化とはつまりユーザーとの約束。コンセプトを崩すことは約束を破ること、それは愛される存在であり続けるために絶対してはいけない事。では、その守るべき約束とは? くっすんが導き出したのは3つのキーワード。

↑熱狂的なファンを生むために、まずは自分たちのプロダクトを愛してくれる顧客像を想像する。次にその特徴を整理し、顧客に提供できる恩恵を洗い出すことで訴求すべきポイントが見えてくる。品質のよいプロダクトを作ることを大前提としつつ、愛されるブランドになるために効果的なマーケティング手法を導き出す。

KGモーターズが提供する製品は「1人乗りEV」であるということ

―くっすん:(ミニマムモビリティの特徴を全員で書き出す)丸めで小さくてボディ色がかわいい…、1人乗りで短距離移動を目的として車幅が狭いから乗りやすい…、モノコックボディにエアコンを搭載して快適性も高く、100V充電できる日本製のEVである…、これは揺るがない。

―くっすん:次に製品が与えるベネフィットとしては「運転しやすい」「快適な移動」「小回りが効く」「低コスト」…うんうん、「個性が出せる」、「目立つ!!」ってのもあるね。あと、これは日本人的な感覚かも知れないけれど、一人乗り用の車内空間の大きさ、サイズ感も特徴と言えると思う。ドラえもんが部屋の押し入れで寝ている価値観というか、子どもの頃に作った秘密基地とか。これまでは軽自動車なら居住空間はなるべく広く、という考え方が主流だったけどミニマムモビリティは、すべての物が手の届く範囲にあるような“居心地の良さ”という、今までにない空間価値があると思っている。この空間をどんな風に使うのか、ユーザーがそれぞれで利用価値を広げてくれたら楽しいよね。そういう意味でベネフィットのひとつとしては「自分だけの空間」というのもあるよね!

―くっすん:(ミニマムモビリティが満たすニーズとは?)スペック的な部分だけでなく、「楽しく移動したい」「自分らしくありたい(自己表現)」「日常にワクワクしたい」「好きな時に好きな場所に」という乗る人の感情的な欲求に応えられるモノでありたいと思っていて、やっぱり“ワクワク”というのは欠かせないキーワードだと思っている。

―くっすん:当初からミニマムモビリティを表現するキーワードとして盛り込んでいる“ワクワクする”というフレーズ。すごく抽象的な言い方で、何にワクワクするのかも人ぞれぞれだと思うけれど、強いて言うなら「ワクワク=想像力を掻き立てられる」じゃないかと思う。雨の日の通勤も苦じゃなくなる、1人でも遊び出掛けられる、自分仕様にカスタムすることもできる…ミニマムモビリティがあることで、こんな楽しい毎日が送れるんだという想像を膨らませてくれる存在であること、それが“ワクワクする”ことだと思っている。

共感してもらえるのはチャレンジする姿勢「1人乗りEV・小さい・ワクワクする」は揺るがない

―くっすん:ミニマムモビリティの特徴である1人乗りの小型EVや価格などの基本スペックは世間の人を惹きつける強みになっているのは間違いない。そのうえで牛久(茨城県)での展示イベントに実車を見るために来場してくれた人たちの反応を見ると、ミニマムモビリティに抱いている印象は“かわいい”、“気軽に乗れる”、“ワクワクさせてくれる”だと肌感覚で感じている。そこから分析するに熱狂的なファンになりうる人の特徴は「変わり者(個性的)で、1人でも楽しめる趣味を持ち、日常を楽しくしたい人」…なんとなく自分(くっすん)に近い人かなと思う(笑)。でも、支持してくれる人が自分と趣向が似ているというのは、くっすんガレージの動画を観てくれていた視聴者たちとも同じで、自分たち(KGモーターズ)が取り組むこと、ミニマムモビリティを作るというチャレンジを同じ目線で応援してくれているのではないか。だとすればKGモーターズが掲げる『ミニマムモビリティの文化』のキーワードを改めて明確にするならば「1人乗りEV・小さい・ワクワクする」であるべきだと考えている。

―くっすん:この文化を崩さずに我々KGモーターズが社会(世界)にむけて発信していくのは『ミニマムモビリティは小型モビリティのシンボルである』ということ。競合他社も含めて小型モビリティが当たり前のように街中を走る時代が来たときにも、1人乗り・コンパクトなサイズ・EVであることで移動を最適化しつつ、単なる移動手段にとどまらずに見た目のデザイン性と機能面で日常にワクワク感を提供できる存在になることで熱狂的なファンを惹きつけることができると思っている。

―くっすん:そしてこの先、ミニマムモビリティが量産化された後にはオーナー同士をつなぐコミュニティーサービスも展開できたらと考えている。ミニマムモビリティ同士での通信機能を持たせることで、例えば駐車場情報の共有や充電スタンドのシェアサービスという利便性を高める施策も作りたい。あとは電力消費量を競う電費競争やカスタムコンテストなど、乗ること・所有する楽しみを味わえるイベントもやってみたい。そんなコンテンツを通してオーナー同士のつながりが、さらなるファンを呼ぶことにつながるはずで、KGモーターズとしてもミニマムモビリティの魅力や遊び方を紹介していく動画配信は変わらずに続けていく。

 

【KGマガジン】
取材・編集担当/野本和磨(nomo.chant.)
元「デイトナ」副編集長。デイトナ誌面でKGモーターズの前身“くっすんガレージ”の活動を紹介してきた経験を元にミニマムモビリティ開発プロジェクトを紹介する案内役。“スタートアップ企業”としての企業活動だけでなく、その根底にある「乗り物好き」「EVで未来を遊ぶ」「ワクワクしたい」という趣味人としての遊び心やKGモーターズが考える『ミニマムモビリティのあるライフスタイル』を紹介していく。

#01 くっすんガレージは『KGモーターズ』に

筆者は以前所属していたデイトナ編集部で“くっすんガレージ”の企画を立ち上げから担当。そんな経緯もあり、『KGモーターズ』のミニマムモビリティ開発プロジェクトについてはKGマガジンという独自メディアの立場で、プロジェクトの内面(というか裏側)を探ってやろうと決めた矢先の4月某日、KGモーターズの活動拠点のひとつで行われたプロジェクトメンバーによる勉強会に参加させてもらう機会を得た。電動ミニマムモビリティを通して“今日より明日がよくなる未来を創る”というミッション達成を目指すうえでKGモーターズとして崩してはいけない、コンセプトや考えを共有する場。その輪の中心にいるのはCEO楠一成(くっすん)である。

『くっすんガレージ』としての動画投稿をメインに活動していた頃から、くっすんを知る身としてはCEOとしてプロジェクトメンバーを引っ張る姿には感慨深いものがある。といっても動画クリエイターからスタートアップ企業への転身を喜んでのことではない。動画のネタとしてクルマやバイクのカスタムに取り組んでいた時から、メカの知識や新技術に対する探究心に加え、「電動モビリティが当たり前になる社会」という未来に向けたビジョンをくっすんはすでに持ち合わせていた。あと天才的な閃きと壁を打ち破る突破力も。だから「ミニマムモビリティを作る」とプロジェクト立ち上げを宣言した時も驚きはなかった。

感慨深いと感じたのは動画クリエイターという枠組みを超え、KGモーターズとして新たなスタートを切った中で、わいざん、やすま、ぽこみちという従来メンバーだけでなく、専門知識を要する車両開発や事業開発分野で活躍してくれる新たな仲間を迎え入れたプロジェクトメンバーを引っ張るくっすんの姿勢に頼もしさを感じたからである。

天才的な閃きと行動力を持つくっすんだが、その天賦の才は時にメンバーや視聴者たちをも振り回してきた。本人としては頭の中の思考を日々アップデートしているだけのことだが、彼の脳内プランを全て把握しきれる訳ではない周囲の人間にとっては突然の方針転換とも感じてしまう。ただ、今までそれが大きな軋轢を生まなかったのは、くっすんの特性も性格も熟知した気心の知れたメンバーが受け止めてくれたから。突然の閃きに驚きつつも、メンバー同士の掛け合いの中で繰り広げられるドタバタ感が視聴者を楽しませる要因にもなっていたのだ。しかし、これからはそうはいかない。新たな仲間が増え、社外の協力先たちの力を余すことなく結集し、ゴールへ辿り着くための推進力にする。何よりも『KGモーターズ』に期待して、ミニマムモビリティというプロダクトを待ち望むユーザーに対しての責任がある。そのことを誰よりもくっすん自身が自覚し、努力している姿を見ることができたのは勉強会開始早々に得られた収穫のひとつである。

↑プロジェクトメンバーが集まって行われた勉強会。参加メンバーが自由に意見を出し合うミーティングで、輪の中心にいるのはくっすん。KGモーターズのCEOとしてプロジェクト成功のためにメンバーを牽引していく役割が求められている。

今、世の中の人がKGモーターズに抱く感情は『半信半疑』

ここからは勉強会で語られたくっすんの言葉から『KGモーターズ』ブランドやミニマムモビリティの現状分析と思い描く未来予想図を紹介しよう。2023年にコンセプトモデルの製作から始まった車体開発は2024年度中に公道走行可能なモニター用車両の完成を目指している。同時に広島・東京の優先予約エリアでは実車展示を予定。2025年度に300台の量産&販売開始。そして2026年度の本格量産を目指し、プロジェクトは着々と進行中。広島・東京の優先エリアでの予約受付も開始しており、ミニマムモビリティに関して多くの期待や要望も寄せられている。その声を踏まえたうえでの、くっすんの思いとは?

―くっすん:ミニマムモビリティという乗り物を作る中で競合となる他社・モデルは当然ある。クルマ作りで実績のあるメーカーはユーザーに対して安心感や信頼性を与えられており、KGモーターズとしても“信頼性を高める”という点は努力し続けないポイントだと思う。また中国系ブランドは国策としてのシナジーを活かしたマーケット分析など、絶対に売るんだという攻めの姿勢を感じる。メーカーならではの圧倒的なコスト競争力もかなり脅威ではある。

―くっすん:そんな競合たちとの比較をしつつ、すでに受付開始した予約申込者の情報を分析してみると低価格を打ち出すことで惹きつけられるユーザーの数には限度がある。KGモーターズの強みは『ワクワク感とデザイン性』であり、ライフスタイルを充実させるために面白いものを選びたいという思考を持った人に届けるためのブランディングを進めるべき。もちろんコストを抑えたいという要望を持っているのも確実なので、ターゲット層を文字で表現するなら…『ワクワクしたい(お金をかけずに)』と思っている人。考えるべき優先順位は①ライフスタイルをより良く出来るか、デザイン的にも先進的なものになっているか。そのうえで付加価値として②コスト的なメリットもある、ということ。そこで今後は、展示会場などの場で価格だけでアピールするのを禁止します!(笑)

―くっすん:もうひとつ、現状を分析すると無視できない絶対的な要素として、世の中の人がKGモーターズに抱いている感情は「半信半疑」だと思う。メーカーや大企業が持つ信頼性と比較して、KGモーターズには見た目はワクワクするし、楽しそうだし、乗ってみたいなという期待感があると思う。でも本当に安全性は大丈夫なのか? 壊れたときの対応は? 話題性だけでなく本気でモビリティを作ろうとしているのか? そもそもちゃんとやり切れる(作れる)の? という不信感もあることは間違いない。ただ、逆に捉えればこれはチャンス。例えば衝突実験の様子を少し公開したときにも「原付ミニカーでここまでやるのか!」というポジティブな反響があった。不安要素を解消することで、すでにある期待感に加えて、安心感というプラス要素を追加することができる。この状況をどう活かしていくのか、どのようにアピールできるか、というのは今後に向けてのポイントになると思っている。

この先のAIとの連動は必須事項。ミニマムモビリティをペットのような存在にしたい

―くっすん:最近のトレンドを踏まえれば、AIの進化が今後の自動車やモビリティ分野に大きな影響を与えるのは間違いないと思う。電動化はもちろんのこと、レーザーセンサー技術の開発スピードも早いのでAIと組み合わせることで自動運転技術も進化していく。KGモーターズのプロジェクトとしても、ミニマムモビリティが完成したその先のステップとして自動運転技術の搭載を見据えている。そしてもっと先…自分の中での構想としてはミニマムモビリティが、なんて言うかペットのような存在になってくれたらな、と(笑)。

―くっすん:一緒に出掛けて遊べるペットのような、毎日の移動にワクワクを与えてくれる存在になるためにAIを活用できたらいいなという構想は持っている。

―くっすん:ミニマムモビリティでKGモーターズが目指す最終的なビジョンは『移動が最適化された未来。小さな乗り物が市民権を得た社会(世界)を作ること』。コンパクトな1人乗りEVという時代やニーズに沿ったスペックという意味での最適化だけでなく、移動という行為自体を楽しくさせる選択肢としてミニマムモビリティが当たり前のように走っている光景を想像すると、とてもワクワクしてくる未来が描けると僕は思っている。

 

【KGマガジン】
取材・編集担当/野本和磨(nomo.chant.)
元「デイトナ」副編集長。デイトナ誌面でKGモーターズの前身“くっすんガレージ”の活動を紹介してきた経験を元にミニマムモビリティ開発プロジェクトを紹介する案内役。“スタートアップ企業”としての企業活動だけでなく、その根底にある「乗り物好き」「EVで未来を遊ぶ」「ワクワクしたい」という趣味人としての遊び心やKGモーターズが考える『ミニマムモビリティのあるライフスタイル』を紹介していく。

KGモーターズ株式会社(本社:広島県東広島市、代表取締役CEO:楠 一成、以下「KGモーターズ」)は、オリジナル超小型モビリティの正式名称を「mibot(ミボット)」と発表しました。また、広島を代表し世界で活躍するイラストレーターIC4DESIGNのカミガキヒロフミ氏による、mibotが走る未来の街を描いたイラストも同時に公開しました。

ミニマムなモビリティロボット「mibot」

KGモーターズは、2025年の量産販売開始に向けて開発中のオリジナル超小型モビリティの正式名称を「mibot(ミボット)」と発表しました。これまで「ミニマムモビリティ」として仮称で発表されてきたものが正式に命名されました。「mibot」という名前は、「ミニマムなモビリティロボット」を意味します。

■代表取締役CEO楠のコメント

「mibot」は、ただのモビリティではなく、未来の自動運転を目指したミニマムなモビリティロボットです。私はロボットもモビリティも大好きで、子供の頃からそれぞれの進化にずっとワクワクしてきました。その両方を掛け合わせることで、もっと生活を豊かにし、もっとワクワクする新しい存在が創り出せると考えています。「mibot」は、未来の街で一緒に出かける相棒として、持続可能でワクワクする移動を実現します。「mibot」が創る未来を楽しみにしていてください。

■mibotコンセプト

1人乗りセンターポジションで走る楽しさを追求した小型の電気自動車。80年代のポラロイドカメラをモチーフにレトロでありながら、近未来を感じさせる前後対称のデザイン。小型で軽量であるため環境性能に優れており、原付ミニカー規格で車検不要・税金も安くコスパも抜群。楽しさ、気軽さ、エコを追求した次世代のチョイ乗りモビリティをコンセプトに開発中。

■スペック

全長:2,490mm
全幅:1,130mm
全高:1,465mm
最大積載量:45kg
航続距離(*1):100km
登坂性能(*2):23%勾配(13°)
最高速度:60km/h
充電AC100V:5時間
乗車定員:1名
(*1)30km/h定地走行テスト値
(*2)乗員の体重、積載物の重さ、路面状況、装備オプションにより変動
※開発時点での値となり、量産モデルでの仕様変更の可能性があります。

「mibot」が走る未来の街

この発表に合わせ、広島を代表するクリエイターであり、世界で活躍するイラストレーターIC4DESIGNのカミガキヒロフミさんによる「mibotが走る未来の街」のイラストも公開されました。カミガキさんのイラストは、mibotが当たり前に走る未来の街を生き生きと表現しています。その街には、mibotだけでなく、大型の車両も共存しており、多様化したモビリティが織り成す豊かな都市風景が描かれています。

■IC4DESIGNカミガキヒロフミさんからのコメント

「夢を一度絵にするとその夢は叶う」という楠さんの言葉を聞いたとき、自分はその夢を描く手伝いをしているんだという喜びを感じました。このイラストには、テクノロジーを使った未来だけでなく、人の暮らしや日々のワクワク、そして古いモノへのリスペクトも込められています。「くっすんガレージ」のYouTubeファンならニヤリとなる小ネタも入れているので、ぜひ近づいてゆっくり楽しんでください。

■IC4DESIGN
本社所在地:広島市中区小町1-5高山ビル3F
HP:https://www.ic4design.com/

 

KGモーターズは、mibotがすべての移動手段を代替するとは考えていません。しかし、持続可能な移動を実現するためには、環境負荷やコスト負担の観点から非常に重要な選択肢の一つになると信じています。
超小型モビリティはまだ一般的ではありませんが、このイラストのように当たり前に走っている未来を実現するために、2025年の量産販売に向けて引き続き事業を進めて参ります。

【採用情報】
車体開発エンジニア、ソフトウェアエンジニアのほか、様々なポジションで採用を強化しております。一緒にミッションの実現に向けて取り組んでくれる仲間を募集しております。
https://kg-m.jp/recruitment/