【KGマガジン】KGモーターズが1人乗りEV「mibot」で目指す世界とは #02

愛される存在であり続けるために守るべき『3つの約束』

今回の勉強会の目的は、車体開発等の技術的な話ではなくKGモーターズが作るミニマムモビリティを応援してくれる(購入してくれる)ファンを増やすために何をすべきか、を考えること。6時間以上に及んだ勉強会では、自分たちが作っているプロダクトを自己分析して強調すべき製品特性や訴求ポイントを改めて書き出し、そこから提供できるベネフィット(恩恵)を整理する。また展示イベントで寄せられた反響をもとに期待されているポイントを整理。その要望に応えることで熱狂的なファンになりうる人の人物像を想像する、というワークショップを行った。

ミニマムモビリティがユーザーにとってのベネフィット(恩恵)を提供できることを正しく伝えることで、熱狂的な(カルト)ファンを作り、その熱狂的なファンが新たなファンを呼び込む。この構造が生まれることでミニマムモビリティが広く、長く愛される存在へと成長していく−『カルトブランディング』と呼ばれるマーケティング手法でもっとも重要なのは、まずプロダクトとして価値あるモノであること、そして“ミニマムモビリティはこうあるべき”という、作り手であるKGモーターズが掲げる文化を正しく伝えること。その文化とはつまりユーザーとの約束。コンセプトを崩すことは約束を破ること、それは愛される存在であり続けるために絶対してはいけない事。では、その守るべき約束とは? くっすんが導き出したのは3つのキーワード。

↑熱狂的なファンを生むために、まずは自分たちのプロダクトを愛してくれる顧客像を想像する。次にその特徴を整理し、顧客に提供できる恩恵を洗い出すことで訴求すべきポイントが見えてくる。品質のよいプロダクトを作ることを大前提としつつ、愛されるブランドになるために効果的なマーケティング手法を導き出す。

KGモーターズが提供する製品は「1人乗りEV」であるということ

―くっすん:(ミニマムモビリティの特徴を全員で書き出す)丸めで小さくてボディ色がかわいい…、1人乗りで短距離移動を目的として車幅が狭いから乗りやすい…、モノコックボディにエアコンを搭載して快適性も高く、100V充電できる日本製のEVである…、これは揺るがない。

―くっすん:次に製品が与えるベネフィットとしては「運転しやすい」「快適な移動」「小回りが効く」「低コスト」…うんうん、「個性が出せる」、「目立つ!!」ってのもあるね。あと、これは日本人的な感覚かも知れないけれど、一人乗り用の車内空間の大きさ、サイズ感も特徴と言えると思う。ドラえもんが部屋の押し入れで寝ている価値観というか、子どもの頃に作った秘密基地とか。これまでは軽自動車なら居住空間はなるべく広く、という考え方が主流だったけどミニマムモビリティは、すべての物が手の届く範囲にあるような“居心地の良さ”という、今までにない空間価値があると思っている。この空間をどんな風に使うのか、ユーザーがそれぞれで利用価値を広げてくれたら楽しいよね。そういう意味でベネフィットのひとつとしては「自分だけの空間」というのもあるよね!

―くっすん:(ミニマムモビリティが満たすニーズとは?)スペック的な部分だけでなく、「楽しく移動したい」「自分らしくありたい(自己表現)」「日常にワクワクしたい」「好きな時に好きな場所に」という乗る人の感情的な欲求に応えられるモノでありたいと思っていて、やっぱり“ワクワク”というのは欠かせないキーワードだと思っている。

―くっすん:当初からミニマムモビリティを表現するキーワードとして盛り込んでいる“ワクワクする”というフレーズ。すごく抽象的な言い方で、何にワクワクするのかも人ぞれぞれだと思うけれど、強いて言うなら「ワクワク=想像力を掻き立てられる」じゃないかと思う。雨の日の通勤も苦じゃなくなる、1人でも遊び出掛けられる、自分仕様にカスタムすることもできる…ミニマムモビリティがあることで、こんな楽しい毎日が送れるんだという想像を膨らませてくれる存在であること、それが“ワクワクする”ことだと思っている。

共感してもらえるのはチャレンジする姿勢「1人乗りEV・小さい・ワクワクする」は揺るがない

―くっすん:ミニマムモビリティの特徴である1人乗りの小型EVや価格などの基本スペックは世間の人を惹きつける強みになっているのは間違いない。そのうえで牛久(茨城県)での展示イベントに実車を見るために来場してくれた人たちの反応を見ると、ミニマムモビリティに抱いている印象は“かわいい”、“気軽に乗れる”、“ワクワクさせてくれる”だと肌感覚で感じている。そこから分析するに熱狂的なファンになりうる人の特徴は「変わり者(個性的)で、1人でも楽しめる趣味を持ち、日常を楽しくしたい人」…なんとなく自分(くっすん)に近い人かなと思う(笑)。でも、支持してくれる人が自分と趣向が似ているというのは、くっすんガレージの動画を観てくれていた視聴者たちとも同じで、自分たち(KGモーターズ)が取り組むこと、ミニマムモビリティを作るというチャレンジを同じ目線で応援してくれているのではないか。だとすればKGモーターズが掲げる『ミニマムモビリティの文化』のキーワードを改めて明確にするならば「1人乗りEV・小さい・ワクワクする」であるべきだと考えている。

―くっすん:この文化を崩さずに我々KGモーターズが社会(世界)にむけて発信していくのは『ミニマムモビリティは小型モビリティのシンボルである』ということ。競合他社も含めて小型モビリティが当たり前のように街中を走る時代が来たときにも、1人乗り・コンパクトなサイズ・EVであることで移動を最適化しつつ、単なる移動手段にとどまらずに見た目のデザイン性と機能面で日常にワクワク感を提供できる存在になることで熱狂的なファンを惹きつけることができると思っている。

―くっすん:そしてこの先、ミニマムモビリティが量産化された後にはオーナー同士をつなぐコミュニティーサービスも展開できたらと考えている。ミニマムモビリティ同士での通信機能を持たせることで、例えば駐車場情報の共有や充電スタンドのシェアサービスという利便性を高める施策も作りたい。あとは電力消費量を競う電費競争やカスタムコンテストなど、乗ること・所有する楽しみを味わえるイベントもやってみたい。そんなコンテンツを通してオーナー同士のつながりが、さらなるファンを呼ぶことにつながるはずで、KGモーターズとしてもミニマムモビリティの魅力や遊び方を紹介していく動画配信は変わらずに続けていく。

 

【KGマガジン】
取材・編集担当/野本和磨(nomo.chant.)
元「デイトナ」副編集長。デイトナ誌面でKGモーターズの前身“くっすんガレージ”の活動を紹介してきた経験を元にミニマムモビリティ開発プロジェクトを紹介する案内役。“スタートアップ企業”としての企業活動だけでなく、その根底にある「乗り物好き」「EVで未来を遊ぶ」「ワクワクしたい」という趣味人としての遊び心やKGモーターズが考える『ミニマムモビリティのあるライフスタイル』を紹介していく。